社会福祉法人、結婚希望する知的障害あるカップルに不妊処置条件化 拒否した場合は退所求める

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北海道江差町の社会福祉法人「あすなろ福祉会」(樋口英俊理事長)が運営するグループホームで、知的障害があるカップルらが結婚や同棲(どうせい)を希望する場合、男性はパイプカット手術、女性は避妊リングを装着する不妊処置を20年以上前から条件化し、8組16人が応じていたことが18日、分かった。「同意を得た」としているが、障害者が拒否した場合は就労支援を打ち切り、退所を求めていた。子どもを産み、育てるかどうかを自分で決める権利(リプロダクティブ権)の侵害に当たる恐れがある。

樋口理事長は共同通信の取材に「養育不全になった時に誰が責任を取るのか。生まれてくる命の保証はしかねる」と主張した。厚生労働省は「障害の有無を問わず人としての尊厳は守られるべきで、事実なら不適切だ」としている。

グループホームで暮らす障害者の出産、育児を法律は想定しておらず、支援制度は整っていない。複数の福祉関係者は「別法人の施設でも処置を受けさせていたと聞いている」と証言しており、厚労省は実態を把握した上で支援策の検討を迫られそうだ。

樋口理事長は、入居者らが子どもを望む場合は「うちのケアから外れてもらう。強制するわけではないが、うちが関わる場合は一定のルールは守ってもらう」と説明。1998年ごろから条件化していることを認め、「子どもを育てるために職員を雇っているわけではない」と述べた。

同福祉会によると、入居者らが結婚などを希望した場合、施設の考えを説明した上で口頭で不妊処置への同意を求め、保護者からも了解を得て同意書を作成する。

過疎化が進む江差町周辺では、就労を支援する施設は少なく、やむを得ずに同意する可能性もある。過去には子どもを望み、施設を離れた障害者もいたという。3年ほど前に処置に応じた30代の女性は、記者の「子どもを欲しいと思ったことがあるか」との質問に「ある。でも今じゃない」と話した。

不妊処置を受けたカップルのうち、12月時点で6組が世帯別の個室があるグループホームで暮らしている。残る2組は施設外から通いながら就労支援を受けていたが、このうち1組は近年、自ら希望して支援を終了し、自立したという。(共同)

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